夢中パラダイス!?
学園へ行く前に緋絽さんに言われたことがある。
それは、今度僕が執事をするお嬢様のこと。
相手は、僕もよく知っている人物だった。
「富士家のお嬢様、ですか。それは凛々香さまで合っていますか?」
「あぁ。同じ学園だろう。もう話は付けてあるからな。今日からでも明日からでも構わないそうだ。その日から、約半年間頑張ってきなさい。」
「はい。」
そして、姫乃お嬢様と車に乗る。
こうやってお嬢様と一緒に学園へ行くのも、これから半年間はないのだと思うとやはり少し寂しかった。
でも、決めたことはやり遂げてみせる。
そう心に誓い、僕は前に進もうとしていた。
そして、学園について今日一日を大切にしようと思った。
しかし、そんな僕の考えは儚く散った。
それは、凛々香お嬢様がきっかけだった。
「薫くん。」
お嬢様との会話中に僕を訪ねてきた凛々香お嬢様。
「あ、凛々香さん。」
お嬢様だと分かっていても、やはり学園内では『さま』とは言わない。
「薫くん、お願いがあって伺ったの。」
「お願い、ですか。」
そのお願いは放課後のショッピングに付き合ってほしいというものだった。
本当は、姫乃と一緒にどこかに行きたかったのだが。
この時僕はとっさに決めた。
今日から始めよう、と。