夢中パラダイス!?
姫乃お嬢様は驚いたのだと思う。
きっと、僕がこんなにも早くに帰っているなんて思わなかったのだろう。
一人で部屋に向かおうとする姫乃におそらく柏木さんから聞いているだろう言葉を、今度は僕が言う。
「姫乃だけだからな」
顔を真っ赤にしながら部屋に戻っていくお嬢様。
そのあとをそっと追いかける。
そして部屋に入ると怒られた。
いや、ノックはしましたから。
弁解をすると、どうやら認めてくれたらしい。
それから気になったのはさっき姫乃が口にしていた言葉。
『もっと好きになってしまう』
だから僕は『いいですよ』と返事をしたんだ。
姫乃はあれは独り言だって言い張ったけど、そんなことウソだろ?
だって、俺も日に日に姫乃のことを好きになっていく自分がいるから。
それから俺は姫乃にたくさんキスをした。
別れを惜しむかのように。
このことを知っているのは今は自分だけ。
でも、それでいい。
姫乃は今『幸せ』と思ってくれているだろうか。
そんなことを思いながら僕は姫乃にキスをし続けた。
そして、僕のあの計画ガスタートする―――
「姫乃。ここに箱置いてもいいか?」
こうやって聞いたのは僕の計画通り。
姫乃がボーッとしてるのをいいことに、話をする。
その後、姫乃が焦ることぐらい知っている。
案の定、いいリアクションをしてくれた。
そこからも僕は意地悪をする。
そして、姫乃の口から『良い』という言葉が出たとき、本格的なスタートを切った。