夢中パラダイス!?
柏野に電話をして、持って来てもらう。
実は、お嬢様が帰ってくる前に真紀子さんには会った。
その時、このことを話しておいた。
緋絽さんには会えなかったら、真紀子さんから言ってもらうように頼んでおいたのだけれど。
そして、俺は窓辺に移動し、姫乃にこっちに来るように指示をする。
それから、姫乃を抱きしめた。
俺の気持ちが伝わるように。
好きだ。
好きだ、姫乃。
大好きだっ―――
それからすぐ、電気が消えた。
僕にはわかったが、姫乃にはわからないこと。
だから不安だったんだろうな。
でも、少しだけに辛抱だからな。
そして、電気がついた。
箱を開けるとそこにはさっきの柴犬。
姫乃は喜んでくれた。
これで、僕の役目は終わり。
そう、終わり。
そして、すぐにまた始まりがくる。
「俺、今日でこの家出ていく」
姫乃が、叫んだ。
姫乃が、泣いた。
姫乃が、行くなと言った。
でも、もうダメなんだ。
半年間の別れだから。
少しだけ、我慢して?
その代り、柴犬が姫乃を一人にはしないはずだから。
ごめんな、姫乃―――