夢中パラダイス!?
「行きたいところがもう一つあるの。」
そんな凛々香お嬢様の要望によって、ある場所へ向かった。
そこは、小さなカフェ。
中に入るのかと思った。
でも、入らなかった。
理由は―――
「え?姫乃―――。」
「そういうことよ。だから入らないの。」
「凛々香お嬢様・・・」
「なに?」
「あなたは、何をしようとしているのですか。」
「さぁね?」
おかしい。
今日の行動が、全部姫乃に関係しているように思う。
いや、絶対そうだ。
なら、これを仕組んだのは、凛々香お嬢様以外にいないだろう。
「どういうことですか!」
「・・・ここにね、私の恋人がいるの。」
え?恋人?
「このカフェの従業員でね、とっても優しい人なの。とっても大好きなの。」
どういうことだ?
「あの香織くんはね、私の好きな人に関係してるの。」
「兄弟とかですか?」
「いいえ。それは言えないの。個人情報保護法があるでしょ。」
そんなところで法律を使うんですか。
と思いながら、僕は姫乃と香織くんの様子を見ていた。
しばらくしてカフェから出てきた二人はどうやら鬼城家に帰って行ったらしい。
「私たちも帰りましょう。」
そして、僕らも富士家に戻った。