夢中パラダイス!?

「準備やらないとさ。」


「・・・うん。」



「そんな顔すんなよ。」

また私を抱きしめてくれる薫。

そんな温かさも、またしばらくは感じられない。


するとまた私は、一人になってしまうのか?


「シロ、元気?」

「え?なんでそのことを。」


「香織くんから聞いてました。」

「香織に・・・。シロは元気だ。」


「ちゃんと世話してやれよ?しばらくほったらかしてたんだろ。柏木さんに任せてさ。」

「ごめんなさい。」
「シロに、謝れ。」


「ハハッ」と言いながら私の頭を撫でてくれる薫。

これでは、私が犬みたいではないか。


「また、帰ってきたとき、こうしたいな。」

「・・・・・・」


「はぁ、なげーな。俺は頑張れるけど、姫乃は?・・・またあと少しだけ頑張れるか?」


「・・・・・る」


「ん?」


頑張れない。

だって、頑張る必要はあるのか?
私は、何を頑張るというのだ?


私は、私にできることをする。


だから薫、私に頑張れ、とは言わないで?


「なに?姫乃?」



「私は、ずっと待ってるから!」
「え・・・?」


「頑張れないかもしれないけど、今度はちゃんと待ってるから!待つことだったら、できるから!薫が帰って来てくれるの、信じて待ってるからっ!」


これが、私の精いっぱいです。



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