夢中パラダイス!?
私は、私。でも―――
「薫はどっちの私の方が好き?」
「え・・・」
黙ってしまった薫をじっと見つめる私。
どっちの方が好きだと言うだろうか。
鬼城家でのお嬢様な私なのか。
それもと、学園での普通な私なのか。
そして、やっと声を出す薫。
「俺は・・・」
姫乃が好きだからな―――
「・・・え?」
「だから、どっちも何もねぇ。お嬢様の姫乃も学園での姫乃もすげー好き。」
そんな解答、ありなのか?
「でも、でも、どっちかと言えばというのがあるだろう!」
「ない」
「お嬢様の方は、口調がきついとか!」
「ない」
「普通だとあんまりつまらないとか!」
「全く」
本当に、薫は・・・
「俺はどっちも好きだって言ってるだろ?」
「・・・っはい!」
もう降参だ。
これ以上言ってもずっとこの調子だろう。
段々と言っている自分も恥かしくなってきた。
「で、三か所目に行きたい所は?早くしねぇとまた休み時間終わるぜ?」
「あ、えっと、それは言わない。」
「は?言わない?」
「秘密だ。」
口をポカンと開けて目をパチパチさせる薫。