夢中パラダイス!?

『付き合ってください』の言葉は無かった。


それでも、お互い分かっている。

言わなくても、自然と戻れた。



でもまたもうすぐ、別れがくる。


明日、23日が別れの日。


そうと分かっているから、今からこうやって思い出を残そうと計画ができるのだ。

あの日のように取り乱したりなどしない。
分かっているから。





そして、放課後。

「姫乃、帰るぞ。」

「うんっ。」


久しぶりに並んで歩く校門までの道。

なんだか、会話がしづらい。


朝や、お昼休みにはたくさん話せたのに。


そのとき、ある声が聞こえた。


「姫乃さん!薫くん!」



その声の主は、凛々香だった。


「凛々香。」

「よかった。二人元に戻れたのね。」

「はい。おかげさまで。」


「よかったわ。もしも、二人の仲が戻らなかったら私どうしようかと思ってたの。」


「凛々香、いろいろとごめんなさい!」
「え?」


「私、凛々香に薫をとられたんだと思って、すごく凛々香を恨んでた・・・。」

「姫乃さん・・・」


「真実を知って、私自信恥かしかった。本当にごめんなさい!それから、今まで薫のことを、それから私のことも、ありがとう!」


「そんな、私だって少し意地悪したりもしたんだから!お互い様よ。気にしないで。」
「凛々香・・・」


本当にありがとう。


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