夢中パラダイス!?
櫻井健斗さんと櫻井春香さん。
長いことお目にかかることはなかったのだが。
薫のお父様とお母様だ。
「お久しぶりです。」
「おぉ、姫乃さん。薫がお世話をかけたね。すまなかった。」
「いえ、私の方こそいろいろな事実を最近知ったので。私の父さまと母さまの計画だったみたいですし。」
「迷惑ばっかり掛けてしまって。」
「そんなことは全然。」
「父さん、母さん、もういいから。で、なんでここに来たの。」
少し呆れ気味に聞く薫にまたもや少し怪しい空気が流れる。
でもそこは薫のお父様も抑えて・・・。
「なんでではないだろう。明後日から海外留学だと言うじゃないか。」
「どこで知った。」
「電話をいただいたよ。緋絽さんにな。」
「緋絽さんがっ。それはすみませんっ!」
「いや、そんな少し余計なことをしてしまったかな?」
「そんなことないです」と言いながら何度も頭を下げる薫。
なんだかいつもの薫じゃないみたいだ。
私と二人でいる時とは正反対な態度だ。
「明日、家に戻ってくるだろう?」
「明日は・・・」
私の方を見る薫。
明日はデートだ。
でも、そんな事を言うと薫の立場が・・・。
その時、父さまが助けてくれた。
「明日の夜に帰れば間に合うでしょう。日本を発つのは明後日の夕方でしたよね。少し忙しいかもしれませんが、明日はうちの娘もきっと薫くんと一緒に過ごしたいんじゃないかと思うんです。薫くんも同じ気持ちじゃないかい?」
「っはい!」
「薫・・・。はぁ。分かったよ。なるべく早めに戻りなさい。」
「少しずつ準備は進めておいてあげるから、気にしないで遊んでらっしゃい。」
「母さん・・・。そんなに薫を甘やかしてどうする。これから一人暮しなんだぞ?」
「もう薫は子供じゃないわ。ね?薫。」
「当り前。」