夢中パラダイス!?
「姫乃!準備できたか!?」
「・・・・・・」
「部屋入るぞ!」
二人とも焦っているせいか、会話が途切れるときがある。
しかし、今はそんなことを気にしている場合ではない。
「姫乃っ・・・やばっ」
「え、な、なにが!?」
「と、とにかく出るぞっ」
先に部屋を出て行こうとする薫の手を急いで握る。
「はいっ!?」
「なんでそんなに、焦ってるの?時間がないから?」
「それもあるけど、そうじゃなくて、でもとにかく先に」
「どうして!?」
「あぁ、もぉ!姫乃が」
可愛かったんだよ!―――
「え?」
「その服、似合いすぎだから・・・。早く行くぞ!」
急いで部屋を飛び出す私と薫。
私の手荷物は薫が持ってくれた。
小走りで進む廊下。
二人手をつないで車へ向かう。
私がヒールを履いているから、そこまで速く走れないことを知っている薫は私に合わせてくれている。
時々、私の方を見て「大丈夫か?」と聞いてくれる薫。
「大丈夫・・・」
一生懸命な薫を見ていると、こんな時でも幸せに思えてしまう。
「お嬢様、薫さん、乗ってください。」
急いで車に乗り込む私と薫。
現在時刻は、11時50分。
「どちらに向かわれるのですか?」
「遊園地でお願いします」
「いや、ちょっと待ってくれっ」
薫と柏木が私の方を向く。