夢中パラダイス!?

本当は、遊園地に行きたかった。

でも、もう時間がない。
それなら私は、先にあそこへ行きたい。


「カフェへ向かってくれないか。」

「カフェ?」


「僕が案内します。」

柏木が「どこのカフェでしょう」という質問に淡々と答えていく薫。

柏木もなんとか、薫の説明する道筋をたどってくれた。
焦っているときは最高のドライバーでさえ大変なことだ。



そして数分後、薫が案内をしてくれたおかげでなんとかカフェへ着くことができた。

「無事に着けてよかったです。では、ごゆっくりしてきてください、といっても」

「あまりゆっくりもできませんけどね。」
「そうですね。では私はここでお待ちしております。」

「柏木、すまないな。」

「いえ、私のことはいいですから、早く行ってきてください。」

「ありがとう。」


そして、柏木を駐車場に残し私たちはカフェの中へ入った。


「いらっしゃいませ。」


最初にあいさつをしてくれたのは、あの時のお兄さんだった。

そして、今日はもう一人お客さんがいた。



そのお兄さんの、恋人が。


「あら、薫くんに姫乃さん。」

「凛々香。」
「お久しぶりです。」


「知り合いか、凛々香?」

お兄さんは凛々香に私たちのことを尋ねた。


「お二人はね・・・」

凛々香がお兄さんに私たちのことを説明してくれている間に私と薫はメニューを見ていた。


私が説明すればいいのだが、ここは凛々香に任せることにした。


二人で仲良く会話をしているところを見ていると、まるで自分たちを見ているようだった。

凛々香にはいろいろと世話になった。


だからそのお礼として・・・と思った私が間違いだったのだ。


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