夢中パラダイス!?
「遊園地へ向かっていると3時間はかかります。となると、遊んでいる時間がないに等しいかと・・・。」
「そのことで悩んでいたのか?」
「・・・はい。」
そんなこと、行き先を変えれば済むことだ。
ならば、どこへ・・・
「柏木さん、遊園地はやめてここへ向かってください。」
隣から薫が身を乗り出し、柏木に紙を渡す。
「ここは・・・」
「姫乃、ごめんな。遊園地はまた今度でいいか?」
「あぁ。構わない。で、どこへ?」
「それは内緒。」
「えっ」
そうこうしている間に、柏木が車を走らせる。
車はどんどん進んでいき、たどり着いたそこは初めて行くお店だった。
「姫乃、早く降りて!」
3時間まではかからなかったが、2時間ほどかかってしまった。
そこは、ジュエリー専門店だった。
「すみません、以前予約していたサクライ、といいますが。」
「あ、しょうしょうお待ちください。」
薫が店員さんにそういうと、店員さんは奥の部屋から小さな箱を手に持って戻ってきた。
「こちらでよろしかったですか?」
「はい。」
店員さんの手の中にあった小さな箱の中には指輪が入っていた。
トップには小さなダイヤモンドがはめ込まれていた。
「薫、これは?」
「姫乃に、クリスマス前のプレゼント。」
「えっ、指輪を?」
「そっ。左手、貸して?」
薫に言われたとおりに左手をそっと差し出す私。
そして、薫が私の手を取り、その左指に指輪をはめる。
サイズもピッタリで、とてもかわいかった。
「どう?気に入った?」
「あぁ。とっても!」
「よかった。じゃぁ、会計はこれで。」
「はい、かしこまりました。」
薫が出したのはカードだった。