夢中パラダイス!?
そのカードはゴールドカードと名のつくもの。
「どうして、薫がそんなものを!?」
「いろいろとな。よし、じゃぁ車に戻ろう。」
そそくさと私の手を引いて車に戻る薫。
ちょ、ちょっと待って!?
という間もなく、車に乗り込んだ私たち。
「お帰りなさいませ。それで、他に行きたいところはございますか?」
「薫、これはどういうことだ!」
「プレゼント。」
「そうではなくて!」
「話はあと。姫乃、3か所目に行きたいところってどこ?」
「え、あ。」
あの丘。
夕方の空に広がるオレンジ色が徐々に暗くなってきていた。
早くしなければ、時間がない。
「・・・っ柏木!」
「はいっ」
「あの、小さな丘へ行ってくれ!」
「あの丘ですか?」
「言っていただろう。今度は薫も一緒にと。」
柏木は一瞬だけ考えたようだったが、すぐに思い出したのか「かしこまりました」と言って車を動かした。
車に揺られている間、薫は何も聞いてこなかった。
『あの丘って?』
『どんなところ?』
など、きっと聞きたいことはたくさんあっただろう。
でも、何も言わなくても一つ分かることがあった。
それは、薫の横顔が、ほんのり笑っていたこと。
きっと、これは楽しみで仕方ない少年の横顔。
まったく、子供だな、薫は。
そして、あの小さな丘へ着いた。