夢中パラダイス!?

「そうだ、姫乃。シロの様子を見てきなさい。元気になったぞ?」


頭上で父さまが話してくれた。

シロはあの後、薬を飲んでしっかり寝たおかげでだいぶ元気になったらしい。
ハウスの周りを小走りするほどに元気になったらしい。


「姫乃に会いたいんじゃないか?シロも。」

「・・・うん。」


「そんな泣き顔で行くとシロが驚くぞ?」

「・・・っはい。」


涙を拭いて、シロのいる部屋へ向かう。



中に入ると、そこには―――


「え!?」


「お帰りなさい。お嬢様。」

「香織!」



香織がいた。

「とにかく、扉を閉めましょうか。」


そう言って静かに扉を閉める香織。

どうして、またここに香織が・・・。


「お嬢様は気になっているでしょう。僕のこと。」

「香織は、本当はっうぐっ」


「その先は言ってはいけません。」




どういうことだ―――


「お嬢様の考えはおそらく正しい。」

私の考えが正しい?

なら、香織は、やはり―――



「でも、このことはご自分の中での秘密です。」

「香織は、なぜ、いや。そんなことできるはずがないだろうっ。人間だぞ?」


「人間ではないとすれば、簡単なことです。」

「そんなことっ」


「とにかく、今日はお礼が言いたくて来ただけです。」

「来た?」


< 199 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop