夢中パラダイス!?
朝食を食べ終わって、すぐに私は出かける支度をした。
「姫乃、柏木さんは車で待っているそうだ。早くしなさい。」
「待って!」
父さまが少し私をせかす。
それはいつもよりも私が念入りに身支度をしているから。
プレゼントを買ったらそのまま空港へ行くことにした。
だから、今から念入りにしておかないとならないのだ。
「姫乃!」
「今できました!」
急いで玄関へ向かう。
その時、母さまに腕を掴まれた。
「姫乃、ちょっと待って。」
「えっ」
母さまが私の首に手を回す。
状況がよくわからない私に、母さまは「いいわね」と言って離れる。
私の首には星のペンダントがあった。
「母さま、これ」
「それはね、緋絽が私にくれた宝物よ。」
「そんな、母さまの宝物を」
「いいの。姫乃にあげるから。」
「でも」
「とっても似合ってる。行ってらっしゃい。空港で会いましょ。」
そう言って私の背中をそっと押してくれる母さま。
「姫乃、プレゼントは物より気持ちよっ」
「・・・はい。」
「姫乃!」
その時、家の奥から父さまが走って来てくれた。
「姫乃、大変なんだ。」
「どうしたの、父さま。」
「すぐに空港へ向かいなさい。」
「え?どうして?」
「薫くんが」
飛行機の時間を変えて、12時の便でアメリカに行くらしい―――
そんなこと、だれが望んだだろうか。
いや、誰も望まないでほしかった・・・。