夢中パラダイス!?

朝食を食べ終わって、すぐに私は出かける支度をした。

「姫乃、柏木さんは車で待っているそうだ。早くしなさい。」


「待って!」

父さまが少し私をせかす。

それはいつもよりも私が念入りに身支度をしているから。


プレゼントを買ったらそのまま空港へ行くことにした。
だから、今から念入りにしておかないとならないのだ。



「姫乃!」

「今できました!」


急いで玄関へ向かう。
その時、母さまに腕を掴まれた。


「姫乃、ちょっと待って。」


「えっ」

母さまが私の首に手を回す。

状況がよくわからない私に、母さまは「いいわね」と言って離れる。


私の首には星のペンダントがあった。

「母さま、これ」

「それはね、緋絽が私にくれた宝物よ。」
「そんな、母さまの宝物を」
「いいの。姫乃にあげるから。」

「でも」


「とっても似合ってる。行ってらっしゃい。空港で会いましょ。」

そう言って私の背中をそっと押してくれる母さま。


「姫乃、プレゼントは物より気持ちよっ」

「・・・はい。」


「姫乃!」

その時、家の奥から父さまが走って来てくれた。


「姫乃、大変なんだ。」

「どうしたの、父さま。」
「すぐに空港へ向かいなさい。」

「え?どうして?」


「薫くんが」


飛行機の時間を変えて、12時の便でアメリカに行くらしい―――


そんなこと、だれが望んだだろうか。

いや、誰も望まないでほしかった・・・。


< 203 / 215 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop