夢中パラダイス!?

急いで車に乗り込み、空港へ向かう。


ここから空港までは2時間。

現在10時15分。



さっきまでの自分を恨めしく思う。

「柏木!お願い、間に合わせて!」

「大丈夫です、お任せください。必ず、間に合わせます。


考えてみれば、無理な願いだということぐらいわかっていたのだ。

でも、それでも何とか間に合ってほしかった。



時間はどんどん過ぎていく。

そして―――






「お嬢様、急いで!」

「父さま、母さまっ」


「姫乃!先に行きなさい。まだあと5分ある。まだ、間に合う!」
「姫乃なら走れば大丈夫よ!行きなさい!」


父さまも母さまも私のことを応援してくれた。

だから私は、それに答えるしかない。


「「行きなさい!」」

「はいっ」




空港の中を、私のすべての力を出し切るように走った。




―――ニューヨーク行きの飛行機は―――


放送が聞こえる。

でも今は、ただひたすら、薫に会いたいその一心で走る。



そして、向かい側に薫の姿が見えた。


「薫ーーー!」


「・・・っ姫乃。」

ドサッ―――


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