夢中パラダイス!?
薫に抱きつく私。
そんな私を受け止めてくれる薫。
そこに薫の温もりがあった―――
「薫っ」
「姫乃、どうしてこの時間に・・・」
「父さまと母さまが教えてくれたのっ」
「緋絽さんと真紀子さんが・・・」
「どうして?どうして内緒で出発の時間を変えたの?」
薫の顔が少しだけ曇ったのがわかった。
もしかして・・・
「時間、変わってないの・・・?」
「・・・・・・」
「もともと、この時間だったの!?」
「・・・・・・」
「ねぇ、どうして?どうしてそんな嘘ついたの?」
「姫乃」
「・・・なに?」
一緒に、アメリカに行かないか?―――
え?
今、なんて?
「この時間に飛行機を取ったのは昨日。理由は、もう一つ席を取りたいって相談したらこの時間しかなかったからだ。」
「どういうこと?」
「夕方の便に空いてる席がなかったんだ。だから」
「ちょっと待って!」
私も、アメリカに?
そんなこと、急に言われてもどうしたらいいかわからないよ。
でも、でも、心のどこかで喜んでいる自分がいた。
―――まもなくニューヨーク行きの―――
時間は迫っていた。
残された時間は、もう、無い―――
「俺と一緒に来るか?」
薫と一緒に・・・
「姫乃!」