夢中パラダイス!?
あ、真紀子というのは私の母で、緋絽というのは父のことだ。
となると、電話の相手は・・・
「柏木か?」
「ん?いや、柏野。」
「柏野?なぜ、柏野なのだ?」
「やっぱりな。」
やっぱり?
「何がやっぱりな・・・!?」
「姫乃、俺の話聞いてなかったんだろ?」
「違う!私はちゃんと!」
「ならなんで、さっき俺が電話した相手が柏野だってわからなかったんだ?」
「それは・・・」
もう、無理か。
ここまで聞かれると反抗は厳しい。
これ以上薫の尋問を受ければ最終的に私の立場が最悪なものになりそうだ。
「ひめの」
「うぅ・・・」
「そんなに落ち込むなよ。話聞いてなかったぐらいで」
「落ち込まないやつなんかいないだろう!だって・・・」
「・・・?」
「最低じゃないか。人の話を、薫の話を聞いていなかったなど」
「姫乃・・・」
そのとき、私の体は薫の腕によって引き寄せられた。
そしてそのまま、薫にすっぽりと抱きしめられた。
「か、薫?」
「姫乃はさ」
少し声のトーンが低いような気がする。
薫の顔が見えない。
強く、でも優しく抱きしめられているから。
そして、次に聞こえてきた言葉・・・