夢中パラダイス!?
「きれいだろ?」
「うん。月は、満月か。」
「だろうな。」
「・・・きれい」
「なぁ、姫乃」
「なに?」
「さっき、俺、一番好きな名前が姫乃だって言っただろ?」
「うん・・・」
「でも、他にも好きなものがあるんだ」
「え?」
「わかる?」
薫の好きなもの。
ハンバーグか。
服か。
意外に、薫は服について詳しい。
どこで学んだのかは知らないが、時々私のコーディネートも見てもらっている。
が、おそらく違う。
となると・・・なんだろうか。
・・・凛々、香。
「それはさ」
そう言って、私の手をそっと握る薫。
そして・・・
「姫乃自身のことも、すげぇ好きなわけ」
「っ・・・」
「この世界にたった一人の鬼城姫乃、姫乃のことが大好きなんだけど。俺って、わがままか?」
「・・・ない・・・」
「なに?」
そんなこと・・・初めて知った。
今までは、私だけが薫のことを大好きなのだと思っていたのに。
本当は薫と同じ気持ちだったんだ。