夢中パラダイス!?
「わがままなんかじゃ、ないっ」
トサッ――
「っつ。いきなり、抱きつくのは反則だってっ。窓から落ちるっての」
「・・・き」
「え?」
「薫、大好きだっ」
「そっ、ちょっとま、」
いつになく、薫が戸惑っているのがわかる。
こんなこと言われたことがないだろうからな。
なぜなら。
言ったことがないからだ。
私自身も、今おそらく初めて言っただろう。
『好き』
という気持ちでは表しきれないほどに大好きなこの気持ち。
薫には届いただろうか。
薫がそっと抱きしめてくれる。
そんな薫を抱きしめ返す。
二人の体温が調和しはじめたとき
パチッ――
「え?」
「ついたな」
部屋がまた明るくなった。
そして、私の視線は部屋の中央へ向いた。
薫も、同じ。
部屋には私と薫の2人だけ。
でも、そこには先程までなかったものがあった。
「な、なぜこんなもの、が」
「姫乃」