夢中パラダイス!?

この執事は、いつも私の髪を巻く数分前に自分も制服に着替えている。


もちろんその他の身支度なども完ぺきに済まされている。



さすが私の・・・


「お嬢様?」

「な!?」


私が考え事をしている時に急に話しかけてくる事さえなければよいのだが・・・。



決して、私が世に言う『ビビり』ということではないのだ。

この執事の話しかけてくるタイミングが悪すぎるのだ。


「本日はお嬢様の得意科目の芸術がございますね。」

「あぁ。今日は何を描くのかすごく楽しみだ!」



「それは何限目なのでございますか?」



「か、柏木。お前も急に話に入ってくるのか!」

「私、も、ですか?」


「あ、いや。何でもない。確か1限目だ。」


「では、急いで学園へ向かった方がよろしいですか?ご準備などされないのですか?」



「そうだな。早めに向かえるのであれば準備でもしようか。」


「かしこまりました。この柏木、お嬢様の為にこのドライバーテクニックで頑張ります。」

「柏木さん。スピードの出し過ぎには十分ご注意くださいね。お嬢様に何かあっては元も子もありませんから。」



「さようでございますね。あはは」


この男、柏木は鬼城家専属のドライバーだ。腕は確かなものだ。

この柏木に運転を任せれば、どんなに危険な時刻であったとしても遅刻にはならない。



まぁ、この私が遅刻をするということは鬼城家の恥以外のなにものでもないからな。



そして、今日も8時45分に学園に到着した。


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