夢中パラダイス!?
「もしも、僕が薫さんだったら、絶対お嬢様のもとに戻ってきます。だから、きっと。薫さんはこの家に帰ってきますよ。それまでの間、僕がいますから。」
「うぅっ、シロっ、私はっ・・・」
シロの言葉で心が少し楽になった。
私は、薫のことを愛している。
きっと、薫も同じだと信じて、今は・・・シロと一緒に過ごしていこう。
「本日は学園、お休みになりますか?」
「シロ」
「え・・・」
「薫の隣にいることはできなくても、遠くから見ていることはできないだろうか。」
きっと、シロは驚いただろう。
私のこの表情に。
私の顔は確かに涙で目元は腫れていただろう。
でも、きっとシロには伝わったはずだ。
私の中で、何か決心がついたのだろうということくらいは。
それは、いつか私のもとに帰ってきてくれるだろうと信じたからこそ、決めたこと。
いつか、薫が戻ってきてくれる。
それなら、私は薫が少しでも早く私を見つけてくれるように近くにいよう。
でも、近くても遠く。
きっと、この意味をシロなら理解してくれる。
「お嬢様らしいご回答ですね。では、早くご支度をしましょう。時間が・・・」
そう言われて、時計へ目を見やると・・・
現在7時30分。
「急ぎましょう!」
そして、私は急いで制服へ身を包み、学園へ急いだ。
柏木も、今日ばかりは・・・という顔だったがさすが鬼城家のドライバーだ。
学園に着いた時間は、いつもと同じくらいだった。
「すまなかったな、柏木。」