夢中パラダイス!?
「いえ、お嬢様をご遅刻させてしまうなどとんでもないですから。お嬢様、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
「あぁ・・・。シロ。」
「はい。」
「先程は、すまなかったな。シロのおかげで私はこの道を決められたんだ。行ってくる。」
「はい。すみません、お嬢様。僕も一緒に行けたらよかったのですが、僕には僕の学校がありますから・・・」
「そんなこと気にするな。私は、一人ではないのだから。薫も、シロもいるではないか。」
「お嬢様」
「では、また家でな。」
「はい。お気をつけて行ってらっしゃいませ。頑張ってください。」
「あぁ」
そして、シロを乗せた柏木の車は学園から離れて行った。
私は、それを見えなくなるまで見送った。
教室へ足を運ぶにつれて段々と足が重くなるのがわかった。
おそらく、体が行きたくないと言っているのだろう。
体は言葉や気持ちよりも正直だ。
それでも、私は自分の気持ちを最優先させて教室へ向かった。
そして、自分の教室の前に立って深呼吸をした。
ドアを、開けた。
「姫乃っ」
「お、おはよう」
まず、話しかけてきたのは時々会話などをする、工藤あかね(くどうあかね)。
「あれ、今日は薫くんいないの?」
「・・・まぁ、いつも一緒にいるとは限らないわけだし。」
「そっか。じゃぁ、休みなのかどうかも分からないの?」
「まぁね・・・。」
ふ~ん、と言いながら自分の席へ戻っていく彼女を見ながら少しだけホッとした。