夢中パラダイス!?
そして、私の頬を伝って一粒の雨となって流れていく。
その粒は徐々に速度を増していった。
だれか、私の心の天気を晴れにしてください。
そう願っても、隣に薫はいない。
シロも、いない。
私は、今、一人なのだ。
その時、少し離れているが人の声がしたような気がした。
その方向へ、目を向けた。
そこにいたのは、男女のカップル。
二人は楽しそうに話していた。
まるで、昨日までの私と薫のように。
結局、昼食のお弁当は手を付けることなく終わった。
また、お腹がすいた時に食べよう。
そろそろ教室へ戻ろう、そう思ったとき。
私の足は歩くのをやめた。
そして、近くにあった木の陰に隠れた。
今の光景が頭の中で繰り返される。
それは・・・
「な、ぜ?・・・薫・・・」
薫と一緒にいたのは―――
「り、凛々香・・・っ」
薫と楽しそうに話す、凛々香だった―――