夢中パラダイス!?
先程見たようなカップルと同じように楽しそうに会話をしていた。
薫が私以外の女の人と話していた。
そして、笑顔だった。
その光景が私の頭の中からいっこうに離れない。
先程まで止まっていた涙がまた溢れ出す。
今度は、悲しみと、怒りとともに。
なぜ、薫は私のことを好きだと言ったのに。
愛していると言ったのに。
なぜ、あんなにも楽しそうに話をしているのだ?
そんなに、私との会話が楽しくなかったのか?
薫、教えてくれないか?
私の、どこがだめだったのか。
頼むから、教えて?
そうすれば、私はそのだめなところを直すから・・・。
だから、私のだめなところを教えて?
そして・・・
「帰ってきてよっ」
また、抱きしめてよっ―――
私のことが好きだと、呟いてよっ―――
私のことを、見つけてよっ―――
そんな私の心の叫びなど聞こえるはずもない。
気が付けば、時間はとっくに過ぎていて、おそらく今は授業中だろう。
誰も、私を探しになど来ない。
私がいないことぐらい、なんともないのだから。
今は、誰も、私のことなど心配などしないのだから―――
「姫乃!」
そんなときでした。
キミの声がしたのは―――