夢中パラダイス!?
バラ。なぜ、私がバラなのか聞いたとき、薫は優しい笑顔でこう答えた。
『バラは、トゲがあるだろ。バラはすごくきれいな花だ。姫乃みたいに。でもトゲがある。』
『トゲ、が何だと言うのだ。もしかして、私の性格がトゲトゲしていると言いたいのか!」
『違うよ。トゲは、壁なんだ。』
『・・・壁?』
バラに壁などない。
そう思った私は、薫の話の続きを聞いて自分の考えを変えたのだ。
『バラは自分の周りに壁を作ってる。自分の身を護ってるんだ。』
『・・・・・・』
『バラはきれいだけど、そうやって壁を作ってる。人で言えば、強がってんじゃないかな。本当は、弱いから。』
『っ・・・』
『だから、姫乃に似てるんだよ。』
私の頭をポンポンッと触りながら話す薫。
そんな薫をみて余計に好きになってしまう私がいた。
『なら、薫は私に触れることはできなかったはずだろう?』
『確かに。最初はめちゃくちゃ痛かった。でも、どうしても姫乃を壁に囲まれてる中から出してやりたかった。代わりに俺が姫乃を護ろうと思ってさ。』
笑顔で言った薫が、本当に愛しかった。
バラにはトゲがある。自分を護るために。
自分は弱くないということを証明するために。
でもそれはただの強がりで、本当は弱いんだ。
そんなとき、そっと差し出された手。
『俺が護る』
だから私は安心して彼に身をゆだねたのだ。
『バラか・・・。描いてみるよ。』
そして、私はバラの絵を描いた。