夢中パラダイス!?

できあがったその作品を見て、薫は嬉しそうに笑ってくれた。


『さすが、姫乃だな。良く描けてる、自画像。』

『じ、自画像ではない!』


『ははっ、でも、バラは姫乃で姫乃はバラだよ。』





あの時の絵はどこにしまっただろうか。


椅子から立ち上がり、あの絵を探す。




でも、それはどこにも見当たらなくて。

この部屋にある作品だけでおそらく50の作品はあるだろう。


そんな中から、なかなかあの一枚を探し出すことができない。


「どこにしまったのだ・・・」


「お嬢様」
「わぁっ!」


急に扉の方から声がした。

その声の主は「すみません」と言いながら部屋に入ってくる。


「シロか。」


「驚かせるつもりではなかったのですが。お嬢様がお部屋にいらっしゃらなかったのでどこに行ったのかと思いましたよ。お荷物もないですし。」

「あぁ。部屋には戻らなかったからな。」


「ここで何をされていたんですか?」


「まぁ・・・絵を描こうと思ったのだが、描けなくてな。」

「描けない、とは?」


「・・・何を描いたらいいのかわからないのだ。」

「そういうことですか・・・」


そこで、思い出したバラの話はしないでおこう。

あの話は、私と薫の二人だけの秘密の会話だから。


「では、お嬢様のようなお花など描いてみたらいかがでしょうか?」




私は自分の耳を疑った。


今、シロは、何と言ったのだ?

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