夢中パラダイス!?

「お嬢様によく似たお花がございますよ?何だと思いますか?」


「シロ・・・キミは・・・」

「はい。」


「何者だ・・・?」


「・・・私ですか?私は、犬正シロです。お嬢様の執事で」
「違う!」


「・・・・・・」


そういえば、シロは昨日うちに来た―――


「キミは、昨日犬だったではないか!」


シロ、キミは昨日薫が私にプレゼントしてくれた犬だった。

そうだ。犬だった。


なのに、なぜキミはいま人間なのだ。

そんなこと、ありえないだろう。



「お嬢様、何をおっしゃっているのですか?私は人間ですよ?」


「でも!犬は、シロは、確かにキミは!昨日私にシロという名前をもらっているだろう!」

「・・・・・・」


「なぜだ!」

「申し訳ございません。お嬢様。私はお嬢様に嘘をついていました。」


「うそ?」

「はい。実は私には名前があります。本名は犬正香織(いぬまさかおる)なのです・・・。」



「犬正・・・香織・・・?」


「申し訳ありません。でも、薫さんに私の名前のことをお嬢様に言うなと言われていました。名前はない、苗字は犬正だと言えと。でもなかなかそうもいきませんね。ですから、あの子犬を利用させていただきました。」


「薫・・・」

「あの子犬は、今どこにいるのかわかりません。昨日から見当たっていません。」


「ということは、今も見つかっていない、と?」

「はい・・・」


色々なことが起こりすぎて、訳が分からなくなってきている。


薫が私に隠そうとしたのか?

この男が、かおる、という名前だということを・・・。
だから、この男、香織は私に嘘をついて・・・自分に名前を付けてほしいと・・・?


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