夢中パラダイス!?
薫が私に教えないように考えたこと。
なぜ、私に知られてはならなかったのか。
そんなこと、薫が優しいからに決まっているだろう。
「薫っ・・・バカっ」
食堂に向かう間に、また私の瞳から一粒の涙がこぼれた。
愛しい人を思って流す涙は、きれいな透明な色だった。
食堂に着き、香織が来るのを待っていた。
食堂、この場所は鬼城家にしてはとても殺風景な場所なのだ。
なんというか、この殺風景でありながらなぜか落ち着けるこの場所を嫌いになることはなく。
香織は無事にシロを見つけることができるのだろうか。
昨日から見当たっていないと言っていた。
となると、もしかするとこの家の外に出て行ってしまった可能性もないことはないだろう。
そうなると、シロを見つけられるのは先のことになりそうだ。
薫がいなくなり、シロまでいなくなったとなると・・・かなりショックが大きかった。
カリカリッ―――
その時、食堂のドアの方で小さな物音がした。
何かがドアを・・・こするような?ひっかくような・・・!
「シロ!」
ドアを開けるとそこには白くてふわふわの毛の持ち主がいた。
「シロ、どこに行っていたのだ!もぉ、この家からお前まで出て行ってしまったのかと思ったぞ?」
『キャンッ』
「よしよし、今日はもうどこにも行ってはだめだぞ?ちゃんと柏木に頼んでハウスも用意したからな。今日はそこで寝るんだぞ?」
『キャンッ!』
「ところで・・・」
香織はどこに行ったのだ?