夢中パラダイス！？

現実を認めたくないと叫んでいたのだ。


昨日も、おとといも。

だからあんなにも涙が流れたのだ。



でも、今は。


もう認めてしまったのだ。




あんなにも、楽しそうに会話をしていた薫を思い出し―――

富士家の執事になったと言った薫を思い出し―――




私のことを「邪魔だ」と言った薫を思い出す―――




あぁ、これが現実なのだ。









その後、私がどうやって家へ戻ったのかはわからない。

しかし、気が付いたら部屋にいた。


歩いて帰ったのだろうか。

それとも走ったのだろうか。


もしくは、柏木に電話をして迎えに来てもらったのだろうか。



けど、今は、そんなことどうでもよい。


なぜだろう。


現実を認めることはこんなにも簡単なことだった。


でも、どうして、なぜ、今まで私はこの現実を認めなかったのだろうか。



こんなにも―――





現実を認めることは、楽だというのに―――