蒼い海





一年一組と書かれた下駄箱で上靴に履き替えて廊下を進む。




『…愛海、緊張してたろ?』



俺の言葉にふと足を止める愛海。





「…うん。」




こくり、と小さく頷いてまた歩き出す。





基本、無表情の愛海の些細な表情の違いが分かるのは幼なじみ所以。





「…彰も耳、触ってた。」



同様に、落ち着かない時にしてしまう自分の癖も看破されていたが―――。







「…彰。」



愛海は俺の左耳を見ていた。



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