甘い棘 【密フェチ】
「そっちはずいぶん早いけど、急ぎの仕事?」
「いえ、今夜は予定あるから早めに仕事終わらせようと思って」
(7時からの合コン、意地でも参加するんだから)
私はコートを脱ぎながら、横目で彼を観察する。
(あ……)
徹夜明けの彼が、やけにセクシーに見える訳がわかった。
「ヒゲ、伸ばしてるんですね」
彼の男らしい横顔に見とれながらそう言った。
「ああ、最近面倒で。でも剃ろうと思ってるけど」
「え!剃っちゃうんですか?」
思わずそう叫んだ私に、彼はパソコンから顔を上げてくすりと笑った。
「ふーん。ヒゲ、好きなんだ?」
(そんなの好きにきまってる。
イイ男の顎ヒゲなんて、最高にセクシーなセックスアピールだ)
唇を歪めて微笑みながら、自分の指で優しく顎ヒゲに触れる仕草。
もう魅力的すぎて、確信犯としか思えない。