降ってくる声
降ってくる声
ベッドに潜り込んだのは、約束した時間の三分前。携帯を握りしめて、その時を待つ。
腹這いになって、この間かけかえたばかりの淡いグリーンのカーテンが窓から入ってくる風に揺れているのを眺めながら。
あらかじめセットしておいた時間にアラームが鳴る。それを切って、何度もかけている相手に電話した。
「おはよう。起きてる?」
「んー、あぁ」
聞こえてくる圭太の声は、どこか寝ぼけているみたいだ。
いつもは男の人にしては少し高め、でも爽やかな声。でも、今は寝起き特有の気怠げな雰囲気に包まれている。
同じベッドで、おはようと言えるならいいのに。
「まったく、おばさんがいないからって私にモーニングコール押しつけないでよね」
「わりぃ……」
眠気を振り払おうとしているのだろう、圭太は話を続ける。
「夏希、おまえ今何してた?」
「ミヤから借りた本読んでた。そろそろ読み終わりそう。明日には返せるかな」
これは嘘。実際には三十分も前からそわそわしてた。何も手につかなくて、部屋の中を行ったり来たり。
「読み終わりそうって、いつ起きたんだよ」
「私? 三時間前から起きてるけど」
腹這いになって、この間かけかえたばかりの淡いグリーンのカーテンが窓から入ってくる風に揺れているのを眺めながら。
あらかじめセットしておいた時間にアラームが鳴る。それを切って、何度もかけている相手に電話した。
「おはよう。起きてる?」
「んー、あぁ」
聞こえてくる圭太の声は、どこか寝ぼけているみたいだ。
いつもは男の人にしては少し高め、でも爽やかな声。でも、今は寝起き特有の気怠げな雰囲気に包まれている。
同じベッドで、おはようと言えるならいいのに。
「まったく、おばさんがいないからって私にモーニングコール押しつけないでよね」
「わりぃ……」
眠気を振り払おうとしているのだろう、圭太は話を続ける。
「夏希、おまえ今何してた?」
「ミヤから借りた本読んでた。そろそろ読み終わりそう。明日には返せるかな」
これは嘘。実際には三十分も前からそわそわしてた。何も手につかなくて、部屋の中を行ったり来たり。
「読み終わりそうって、いつ起きたんだよ」
「私? 三時間前から起きてるけど」
< 1 / 2 >