スコープ
「美味しいっ」

サーモンはやらかく、野菜はよく味が染みていた。


「ここの料理は美味しいですよ。」


「浦西はここの常連みたいね。雅紀さん?のお名前も知っているし。」


「ええ。よく来ます。弟が働いてますしね。」


「そうなの!そういえば弟がいると言っていたわね…どこにいらっしゃる?」


美春は
キョロキョロと
お店を見渡した。


「誘導で貴方を席にお連れした。緑の髪の子がいたでしょう?」


「ああ…あの綺麗な…」


緑の長めの髪がよく似合っていた彼だ。と美春はすぐにわかった。



「いつも兄がお世話になっています。」


後ろから声がした。
あの緑の彼の青年だ。


「いつもお世話されているのは私なのよ。」


美春は
親しみをこめて
緑の髪の青年をみた。


「弟のトーマスです。」

浦西は
ブロンズの髪をなびかせ
弟を紹介した。

ペこりとトーマスはお辞儀した。


「兄がこんな綺麗な人といるなんてびっくりしました。」

トーマスはいたずらっぽく笑った。


「ありがとう」
と、言いながら美春は頬を赤らめた。


よくみると似ている気もする。



「以後、よろしくお願い致します。」

美春の手をとり
トーマスをその手に口づけた。
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