スコープ
重い沈黙のあと浦西がぽつりと

「お嬢様は完璧過ぎるのです。」

と言った。


「え?」


「失礼を承知で言います。お嬢様は美しいし言葉や心や経歴今までの過去、全て綺麗でございます。」


「…ありがとう…と言う…べきなの?…」


「いえ、私は言いました、失礼を承知で言いますと」


「…」


「お嬢様…そんな人間がこの世にいるわけないのです…完璧などこの世にはないのです」


「え?」



「世界は必ず、光と影、二つ一つでございます。全てのことがです。光ばかりの人間などいるはずがございません。影がなければ…その人間は逆に魅力がなくなるのであります。光が薄れてしまうのです」


「………」


「しかしこの浦西…お嬢様の影を知っております」


「!」




「それは…」

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