見つめたままに、
2
「すみませーん、」
「ままー、」

上司の声とかぶったのを確認して、
自然すぎるくらいに静かに腰を下ろすから

自分でも気づかないくらいの胸の隙間に
風が吹く

「何かリクエストある?」

黙りこけた若手への気遣いも、


苦手

少し気を利かせて
懐かしの曲名を呟けば

読み取れない表情で見つめられる
ほんの一瞬



「咲ちゃん、オレと好み似てるわ、」

そう言って見せるその笑顔、
苦手なんだってば

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