声を聴かせて。
声を聴かせて。



-----
------…





それは、


密かに抱く欲望。









「チーフ、チェックお願いします。」


「ああ」


デスクのパソコンに目を向けたまま、くわえ煙草の“彼”は、部下から書類を受け取った。


私はその姿を、少し離れた角の席から盗み見る。


ここから見る、彼の姿が好きだ。



いつも眉間にシワを寄せ、企画書とにらめっこ。

気付いたら足を小刻みに揺すっている。




私は席を立つと、コーヒーを持って彼のデスクに向かった。


そろそろ欲しくなる頃だ。



「コーヒー、どうぞ」




彼が顔をあげる。


黒髪からのぞく切れ長の瞳が、私をとらえた。


「…あぁ、悪いな。そこ、置いておいてくれ」

だけどすぐに、彼は視線をそらした。
















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