声を聴かせて。
「……なぁ、どうなの?
俺が自惚れてるだけ?
俺が勘違いしてるだけなの?
あんなセックスまでしておいて、
俺をあんなヨガらせておいて、お前ってそういう女ってだけなの?」
私は泣きながら、首を横に振った。
違う。
違うの。
…そんなんじゃない。
「…泣いてちゃわかんねぇよ。
ま、良いけどさ。
もし俺の勘違いだったとしても、これから落としてやる。
絶対、俺の物にするから」
そう言って彼は、そっと私の唇にキスをした。
唇が離れると、目の前には優しい目をした彼の顔が……
「……ください」
私は泣きながら言った。
「…呼んで、ください。
“お前”じゃなくて、ちゃんと名前で呼んでください。
チーフに、名前で呼ばれたいんです。
好きです…
好きなんです…
私、チーフのことが…」
彼は満足そうに微笑むと、また私の身体を引き寄せて優しく抱きしめた。
「…上出来」
そう言って、彼が私の名を耳元で囁く。
甘い声に、身体が震える。
私の中から、甘い欲望が溢れだす。
…私の心は、あなたのもの。
この身体も声も全部、あなたのためにあるのだから。
…だから聴かせて。
私を求めるあなたの声で、
私はこんなにも満たされるのだから。
-END-