好きな人は、天然タラシ。
「………………嬉しい、です」
「ん?」
私が必死に絞り出した小さな声を、福嶋さんは見つけてくれる。
「…お祝いの言葉言ってもらえるなんて、嬉しいです。ありがとうございます」
ペコッ、と頭を下げる。
「いや。俺が言いたかっただけだから」
何ですか、それ…。
さらに私を喜ばせるような言葉に、泣きそうになる。
その言葉が無意識に発されているとわかっていても…
…手を伸ばしたくなる。
今なら、福嶋さんに届くんじゃないかって。