好きな人は、天然タラシ。
「――――俺、本気で好きな人いるんだよね」
「―――っ!」
好きな人って…
…何で私にそんなこと言うの…?
………もしかして、相談相手として抜擢されちゃった?
同じ歳だし、相談しやすいもんね?
…………って、へこむよ。
福嶋さんは何故か私をじっと見つめていて。
………いや、そんなにマジマジ見られると、困るんですが…
恥ずかしくて目を反らしたくなる。
…そう思うのに、目を離せない…。
「気付かないかな?」
「…え?」
ポカンとする私に、福嶋さんは表情を緩めた。
「…毎日会社に行くのが楽しいなんて、ガキみたいなこと思ってた」
「………」
「会社に行けば朝比奈さんに逢えるから。」
「―――!」
え、ど、どういう…!?
「…俺、本気で朝比奈さんのこと好きなんだ」
「…………………………へ?」
す…
好き…?
――――え?
今、好きって言ったよね?
好き、ってあの…
「!」
ビクッと身体が跳ねる。
カウンターに乗せていた私の手の上に、福嶋さんの手が乗ったから。
ウソ…
こんなの、ウソに決まってる…!
「…本気なんだ」
「――――」
「――――朝比奈さんのことが好きだ。…だから」