好きな人は、天然タラシ。
「…ねぇ、教えてよ」
甘く、囁くような声にそっと顔を上げると、10センチ先に福嶋さんの顔。
柔らかい笑顔。
大好きな表情だ。
「―――――――――…そりゃ…いい…んじゃない、ですか…?」
最高だと思います!…なんてことは、心の中で思ってても口に出しては言えないけど。
この歳になると素直になんて、簡単にはなれないから。
でも、伝わってるといいな、って思う。
「…………そっか………じゃあさ」
「…?」
福嶋さんが私の手をそっと握った。