好きな人は、天然タラシ。
 

「…ヤってねぇよ?」


「へ…?」


あたしの心の中を読んだような言葉が田岡さんから出てきた。


田岡さんの顔を見るけど、嘘をついているような表情ではなくて。


「…ていうか、できなかった。」


てことは、何もなかったってこと…?


よ、良かったぁぁぁ!


貞操守ってた、あたし!涙


ホッとして、胸を撫で下ろした。


「そ…そうですか…。じゃあ何の問題もないってことで…」


あたしは田岡さんから視線を離して、再びベッドから離れようとしたんだけど…


後ろから聞こえてきた声に、それをすることはできなかった。


「待て。手出せなかった理由、教えてやる。」


「はい?」


別にそんなの、聞かなくていいし…


「…おまえのこと、ずっと好きだったから。」


「――――」


ん?


今…


田岡さん…


何て…?


「…なぁ、聞いてる?」


「――――…いや、あの…空耳…ですかね…?」


…『好き』って聞こえたんだけど…。


何かの間違い、だよね?


「…もう一回言うから、よく聞いとけよ?」


「!!!」


腕を掴まれて、ぐいっと田岡さんに引き寄せられる。

 
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