好きな人は、天然タラシ。
 

「…おまえが福嶋のこと好きなことくらい知ってる。でも…俺にしとけよ。」


あ、俺様口調だ。


「…損はさせないし…、」


どうなったら損なんだろう?


「…おまえのこと一番に考えるし…、」


それ、当たり前でしょ?


「…要望には答える。」


何それ?(笑)


「………………好きなんだ。…ダメか?」


………………胸キュン、MAX。


しどろもどろで愛の告白(?)って。


こんなにイケメンで女の人に慣れてそうなのに。


「…………」


「…………なぁ」


「……………」


不安そうな表情。


あんなに苦手だと思ってた田岡さんだけど…


もっと知りたい、って思っちゃうよ。


直感だけど、田岡さんのこと好きになれる気がした。


「…………………そうですね…じゃあ、ちゃんと好きにさせてくれますか?」


「…?」


「田岡さん知らないと思うけど、あたしわがままだし、超子供だし。それでもいいなら、あたしの福嶋さんへの気持ち、忘れさせてください。…そして田岡さんのこと、好きにならせてください。あたしが田岡さんのことを好きになれれば…田岡さんの勝ちです」


「――――…それは…とりあえず、オッケーってことでいいのか?」


「…すぐにどうこうってのは、さすがに無理ですけど…。あ、軽すぎて嫌になりました?今ならまだ引き返せますよ?―――なぁんて…っ!?」


ひひっ、と笑った瞬間だった。


抱き締められてたのは。


視界の端に入るのは、田岡さんの髪の毛。


…なんか、田岡さんの温度って、気持ちいい。


匂いも、好き。

 
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