ブルーブラック2

「珍しいな。江川が飲みに誘うなんて。まぁもっとも、2年前までは頻繁だったけど」
「たまにはいいだろ。男同士でっていうのもさ」
「···別に」
「まーあ冷たいな、お前は!絶対朱里はこんな男にはやらないぞ」
「はいはい」


昔から智と江川は仲が良く、こうして飲みにくることは珍しくはなかった、むしろ多い方で。

それが、2年前に江川に溺愛する長女·朱里が誕生してからはその回数が格段に減った。

しかし、智にすれば特になんということもなく。

元々そういう執着するような性格でもなかったし、何より自分にも全てにおいて優先させたい存在が出来たから、という理由が一番であった。


「その大事な娘が待ってたんじゃないのか?」
「今日はまどかと2人で実家に泊まりに行ってるよ」
「成程ね···だからか」
「おれより百合香ちゃんは大丈夫だったか?」
「椿くんとゴハンだって言ってた」


智が出汁巻き卵に箸をつけながらそう言った。




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