ブルーブラック2

「あ、神野さん」


それから30分ほど経ったとき、百合香は倉庫から補充してくる物のリストを書きながら店内を回っていた。
そして丁度カウンター内に入ってきたところに後ろから声を掛けられたのである。

ペンを止め振り向くと2階の責任者、富田がそこに立っていた。


「はい?」
「ちょっと、いい?」


百合香はカウンター内の台にその書きかけの容姿を挟めたバインダーと“桜”を置いた。


「坂谷くんには言ってあるから。30分から1時間くらい付き合ってくれるかな」
「ええ。でも、どこへ?」
「事務所・・・商談室に」


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