ブルーブラック2

百合香がそのまま富田の後をついてバックヤードのエレベーターへと向かう。

事務所に入り商談室に目をやると懐かしい顔があった。


「どうも、こんにちは」

「――か、金山さん!」


開放されているドアの向こうから声を出しているのは文具メーカーオーシャンの工場に勤務している金山と、その隣にはここ弐國堂の担当である美雪だった。


「富田さん、なんで私も・・?」


商談室の扉を閉めている富田を振りかえって百合香は聞いた。

本来オーシャンを受け持っているのは富田なので、百合香は直接関係はなかった。

それなのに富田は百合香に声を掛けた。


「僕だけじゃちょっと不安だったから。それに神野さんは前に出張でお世話になって親しいかと思ってね」





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