ブルーブラック2

「あ」


その目的の2人がいないなら―――と、体を翻した時だった。

カウンターの中の台に照明が反射しているものを見つけた。


「これ―――··」


美咲は坂谷がこちらを見ていないことと、他に誰かいないかを確認すると、そっとそれを手に取り確認した。

それは紛れもない、昨日見た万年筆―――。


(神野さんの、だ)


ほんの数秒手のひらにそれを乗せて見つめていた。

そして、ほんの出来心···

美咲はその万年筆を自分のポケットに差した。


そのまま何食わぬ顔で1階へと戻るのだった―――。


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