ブルーブラック2

さすがにあまり遅くなると誰かに気付かれる。

“誰か”というのはもしかしたら智の可能性もあるかもしれない。

そう思った百合香は渋々腰を上げて、暗い顔でロッカー室へと戻った。


「あ、お疲れ様です神野さん」


誰もいないと思っていたロッカー室には既に着替え終わった美咲がいた。


「あ!お疲れ様··」


驚きでつい目を逸らしてしまう。
しかしその時にロッカーに掛けられてある美咲の制服に光るものを見つけた。


「あの··生田さん、それ―――」

「え?ああ!これ、買ったんです!神野さんの見ていたら欲しくなっちゃって!」


美咲は光るクリップだけを人差し指で軽くなぞってにっこり笑顔でハッキリと百合香に言った。
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