ブルーブラック2
「ん···」
目を閉じて、手の温もりを感じて、吐息を感じる。
蕩けそうになるキスは、百合香の力を抜くことなんて容易いものですぐにソファの上に組み敷かれる。
その時キラッと何かが百合香の目に飛び込んできた。
少し横を見てみるとテーブルの上に置いてあった智のブルーブラックで書きかけていた書類と“桜”だ。
そして百合香は今日のロッカー室での美咲を思い出してしまう。
「生田さんて――···」
「なに?なんか言った?」
「や、なんでもな、、ぅんッ··」
まだ話し終えていない百合香の唇を上から覆う。
「こんな状況なのに他のこと考えてるの?」
そうして智の熱を帯びたキスが止めどなく百合香に降り注ぐ。
しかし百合香はすぐそこに光る“桜”が胸を痛めていた―――