ブルーブラック2
「お疲れさまでした」
「お疲れ様」
数人が一緒に裏口から出た。
百合香は挨拶を交わしていつもとは逆の方向へと歩きはじめる。
(予約まで時間あるから急がなくてもいいな。やっぱり近くにしてよかった)
前回かかった時の検査結果が今日知らされる。
早く知りたいけれど、知るのが怖い。
そして、何かあってもなくても一度は智に報告と相談をしなければならない。
失くした“桜”のことといい、百合香は考えることが山積みだった。
だから、気が付かなかった。
一人の人物に見られていることに―――。