ブルーブラック2
(あの扉が開いたままってことはまだ社員はいる筈)
そうして向かい側の建物にもたれて腕を組みじっと扉を見つめる。
その扉からは蛍光灯の光が漏れてきて中の様子が見える。
未だ誰かが出てくる兆しがないその扉の向こうから視線を落として自分のネイルを眺める。
すると、ぼんやりとぎりぎり入る視界の光が一瞬暗く影を作ったことに気が付き顔を上げた。
「―――みっけ」
口角をゆっくり上げてそう呟くと、美咲はヒールを鳴らして走り寄る。
「柳瀬店長」
その声に立ち止ったのは勿論店長の智だ。